JR九州・肥薩線(えびの高原線)
大畑駅/矢岳駅/真幸駅

----------------------

お知らせ

 このページで流れる「車内放送チャイム」のMIDIデータは、『MIDIデータ集』で、ダウンロードしてお使いいただけます。

----------------------

 見所たっぷりな、JR九州肥薩線の大畑〜真幸を、駅舎を中心にご紹介いたします。

 肥薩線は、1909年11月、鹿児島本線として開業しました。特に人吉〜吉松は、当時、青森〜鹿児島を鉄路で結ぶ最後の工事区間で、かなりの難工事でした。
 さらに難工事を極めた「矢岳第一トンネル(宮崎県・全長2096m)」には、工事の最高責任者であった、逓信大臣・山縣伊三郎(やまがたいさぶろう)の「天険若夷()」、鐵道院総裁・後藤新平(ごとうしんぺい)の「引重致遠()」という石額が、入り口と出口にそれぞれ掲げられ、当時、「矢岳第一トンネル」の開通がどれだけ喜ばれたかがしのばれます。
 「矢岳第一トンネル」の工事では、多くの犠牲者が出てしまいました。また、激しい湧水が、資材を運ぶ馬を排水路へ押し流し、溺死させてしまったという記録も残っています。
 「矢岳第一トンネル」の工事開始当初、近くに林道すらない現場まで、人手を使って資材を運んでいたそうです。また、当時の技術から考えると、現在の青函トンネル開通に匹敵するほどの大規模な工事でした。
 ちなみに、「矢岳第一トンネル」は、矢岳駅を下り方向(真幸駅方面)へ出た、すぐのトンネルです。

 難工事の末開通したこの路線は、景観に恵まれ、列車は動く展望台となっています。矢岳第一トンネルと矢岳第二トンネルの間には、快晴時、遙か桜島まで見渡せる車窓が楽しめます。この車窓、日本三大車窓)の一つに数えられています。
 現在、人吉、大畑、矢岳、真幸、吉松の35km区間を一日一往復する観光列車「いさぶろう(下り)」「しんぺい(上り)」は、矢岳第一トンネルの石額の二人にちなんで名付けられています。山縣伊三郎の石額へ向かって走る下り列車が「いさぶろう」、後藤新平の石額へ向かって走る上り列車が「しんぺい」となっています。

 この路線を訪れる機会がありましたら、ぜひ人吉から、観光列車「いさぶろう」に乗ってみてください。
 車内放送は、車窓からの見所など、路線の観光案内が中心で、また、運転士さんが臨機応変に対応してくださり、路線の途中でも列車を止めてくださいます。ループ線の頂上で大畑駅を見下ろすポイント、矢岳第一トンネルの入り口と出口、日本三大車窓など、列車を止めてくださるポイントは数多くあります。
 さらに「いさぶろう」は、矢岳駅で蒸気機関車(D51 170)見学のための停車時間までもうけられていて、運転士さんが実車を前に解説してくださいます。
 「いさぶろう」は、吉松へ到着後、そのまま「しんぺい」となって人吉まで帰ってきます。
 なお、「いさぶろう」「しんぺい」は、普通列車扱いですので、大畑、矢岳、真幸の各駅での乗降が可能です。ただし、2004年3月13日のダイヤ改正に伴い、ほとんどの座席が指定席となっています。
 休日には、片道を利用される団体客も増えてきています。
 運転士さん次第ですが、ここには書けないサービスをしてくださる方もいらっしゃいます。

 路線に点在する駅、路線からの眺め、そこを走る列車の運転士さんのサービスなど、この区間の見所は一言では片づけられません。

 余談ですが、八代から水俣方面を通る、鹿児島本線の開業(現在の肥薩おれんじ鉄道の路線)は、1927年です。同時に、それまで人吉を経由していた鹿児島本線が、鹿児島本線の支線となり、肥薩線と名称が変更され、現在に至っています。
 さらに余談ですが、鹿児島本線鹿児島線とは、全く違う意味を持ちます。これは、東海道本線と東海道線、山陽本線と山陽線などにも当てはまります。鹿児島本線門司港から鹿児島までの路線名で、鹿児島線本線を含む、すべての支線の総称です。ですから、肥薩線も鹿児島線になります。ただ、廃止路線や第3セクターへ転換された路線などが多くなってきてますので、本線のみという路線も出てきてしまいました。


 肥薩線の最盛期には10両編成のキハ58(急行『やたけ』『えびの』)、キハ82系の特急列車(『おおよど』)、それに9600形やD51なども走っていました。
 現在は一日4往復の列車が通るのみとなっています。
 最近では廃線もうわさされるようになってしまいました。が、ぜひとも残しておいて欲しい路線の一つです。


 なお、展示している写真は、すべて1998年5月以降に撮影したものです。蒸気機関車が走っていた頃など、肥薩線最盛期の写真はありません。あしからずご了承ください。


『天険若夷(てんけんじゃくい)』
読み:てんけんいのごとし
意味:天下の難所を平地のようにした

『引重致遠(いんじゅうちえん)』
読み:おもきをひきいてとおきにちす
意味:多くの人や荷物などの重いものを、どんどん遠くへ運搬することができる

日本三大車窓
国鉄が全国の景勝地を集めて発表したものです。
このページでご紹介しているJR九州肥薩線の矢岳〜真幸の他に、以下の区間があげられています。

  • JR東日本 篠ノ井線 姨捨駅(おばすて・長野県千曲市)
    姨捨駅も、スイッチバックの駅です。善光寺平と千曲川という信州の名所が一望できます。
    なお、姨捨駅を通過する優等列車のために、スイッチバックを回避する路線が敷かれていますので、車窓を楽しむためには、姨捨駅に停車する普通列車に乗車しなければなりません。

  • JR北海道 根室本線 狩勝峠(かりかちとうげ・落合駅〜新得駅)
    (ただし、現在は新線に切り替えられ、消滅しています。)
    国道38号線沿いから、十勝平野が一望できる、いかにも北海道という風景を楽しむことができます。
    三大車窓と称された旧線の頃は、ここもスイッチバックでした。

なお、このコーナーは、JR九州人吉鉄道事業部の運転士さんにご利用いただいています。

----------------------

「いさぶろう」「しんぺい」時刻表と運賃表 2004年3月13日改正

時刻表
観光列車














列車番号 8245D 1255D 観光列車













列車番号 8244D 1256D



普通








普通








普通







普通




人吉
ひとよし
10:10 13:00 吉松
よしまつ
11:37 14:48
大畑
おこば
10:28 13:21 真幸
まさき
11:55 15:04
矢岳
やたけ
10:57 13:52 矢岳
やたけ
12:18 15:27
真幸
まさき
11:12 14:11 大畑
おこば
12:38 15:47
吉松
よしまつ
11:23 14:22 人吉
ひとよし
12:51 15:59

運賃表(単位:円)
人吉
ひとよし
270 380 540 720
大畑
おこば
240 360 540
矢岳
やたけ
220 360
真幸
まさき
220
吉松
よしまつ

指定席券(単位:円)
期間 料金
1月16日〜2月末日,6月1日〜7月19日
9月,11月1日〜12月20日
300
12月21日〜翌年1月15日,3月1日〜5月31日
7月20日〜8月31日,10月
500
こどもの運賃・指定席券は半額(5円の端数は切り捨て)

 「いさぶろう」「しんぺい」は、2004年3月13日のダイヤ改正で、木をふんだんに使った落ち着いた内装で、展望席が備わったリニューアル車両が投入されました。ベースとなった車両は、キハ140系です。
 詳細は後日お知らせしたいと思います。なお車両の取材は、人吉鉄道事業部様にご協力いただき、2004年3月12日に終了しています。内部などの写真は、こちらに掲載済みです。ご参照ください。
 「いさぶろう」「しんぺい」は、リニューアル車両が投入されて、フリースペースを除き指定席となりました。ご注意ください。
 「いさぶろう101号」「しんぺい102号」は、土曜日、日曜日、祝日、その他の指定日にのみ運転されます。ご注意ください。
 運賃表には、指定席の料金は含まれません。

----------------------

肥薩線路線図

肥薩線

路線図の駅名をクリックしていただくと、各駅紹介のページへ進みます。


 大畑ループ線は、半径300m、山肌を一周して標高差を稼ぐ路線です。大畑駅の標高は294.1m、矢岳駅の標高は536.9mあります。最大傾斜は33‰(約1.9度)。現在でもステンレス製で軽量なキハ31では、雨の日などにうまく登れないことがあるそうです。


 大畑駅と真幸駅は、勾配の途中に平坦な場所をつくり、そこに駅を設けるため、スイッチバックを併せ持っています。平坦な場所に駅を設けたのは、路線開業当時に走っていた蒸気機関車のためです。勾配の途中に駅を設置してしまうと、非力な蒸気機関車は登坂できなくなってしまいます。


 左の地図ではトンネルを省いていますが、大畑駅から矢岳駅にかけて5つのトンネル(大畑より大谷、大野第一〜第四)が存在します。また、矢岳駅から真幸駅にかけて6つのトンネル(矢岳より矢岳第一〜第三、かがづる、中竹、後平)が存在します。ちなみに、人吉〜大畑には5つのトンネル(人吉から水無第一〜第二、立石第一〜第二、横平)が、真幸〜吉松にも5つのトンネル(真幸から山神第一〜第二、松尾、丸塚、永迫)が存在します。ループ線をくぐるトンネルは、横平トンネルです。

 日本三大車窓のポイント付近に、難工事を極めた矢岳第一トンネルと、矢岳第二トンネルがあります。

いさぶろう・しんぺい

リニューアルされた、「いさぶろう・しんぺい」(キハ140 2125)

----------------------

大畑(おこば)駅
大畑駅

大畑(おこば)駅
写真をクリックしていただくと、大畑駅のページへ進みます。

掲載写真枚数:34

大畑駅開業年月日:1902年12月26日

----------------------

矢岳(やたけ)駅
矢岳駅

矢岳(やたけ)駅
写真をクリックしていただくと、矢岳駅のページへ進みます。
日本三大車窓』の眺望も、こちらに写真を置いています。

掲載写真枚数:10

矢岳駅開業年月日:1902年11月21日

----------------------

真幸(まさき)駅
真幸駅

真幸(まさき)駅
写真をクリックしていただくと、真幸駅のページへ進みます。

掲載写真枚数:13
入場券画像:1

真幸駅開業年月日:1904年5月11日

----------------------

あさかぜメモリアル
今は亡き、国鉄時代の『「博多」あさかぜ』の写真を集めてみました。

『はやぶさ』の抵抗
『はやぶさ』のちょっとしたハプニングです。

最後の『はやぶさ』
単独運行最後の上り『はやぶさ』の車両編成をお知らせしています。

スハネ25室内
JR九州のスハネ25室内をご紹介いたします。

鉄道車両の形式称号
『C62』『EF65』『オハネフ25』…。
それぞれの記号の意味をお知らせいたします。

蒸気機関車の写真集
現役で走っている『58654』を中心に、うえだが撮影した写真をご紹介いたします。

ビデオ撮影の合間に
JR九州より依頼された、運転マニュアルビデオ撮影の合間に撮影した記録写真です。

戻る
『寝台列車』のページへ戻ります。

----------------------

●ごあいさつ ●舞香って? ●リンク ●CD制作
●更新履歴 ●もう一人の舞香 ●ゲスト・ギャラリー ●スタジオ見聞録
●オーディオ ●アニメーション ●イラスト・ギャラリー ●寝台列車
●天琴ラーメン ●お知らせ ●うえだまゆみって? ●制作環境
●MIDIデータ集 ●ご意見・ご感想 ●サイト・マップ ●おしゃべりルーム(BBS)
●WebアニメーションTV

----------------------

HOME Button  MAIL Button  Copyright (C) 1998-2004
Mayumi Ueda All Rights Reserved.